｜帽子（ハット）の寿命は3年から5年。

夏物のストローハット（パナマハット含み）は短めの3年、動物の毛を圧縮したフェルトハットは5年と一般的に言われていますが、その根拠は何か？

かつてマイケルとトランプは友人だった

物理的な耐久性で言えば、直射日光や摩耗や変形そして汚れからくる劣化（虫食いやカビ等含み）により繊維が壊れる（穴が開く）ことが寿命というのなら、正装用の洋服のようにきちんとした手入れと保管をすることでその寿命は2倍3倍にも伸びます。

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ぼうし

お手入れ方法は専門情報（帽子の専門クリーニング）がありますのでよく読んで研究してみてください。

※運営会社クリーニング４０３（ヨンマルサン）

モノの寿命で考えると、家電・クルマや自転車などはメーカー保証期間（有料保証を含む）の中で消費されています。クルマは10年から15年、冷蔵庫は10年など比較的長いスパン愛用されます。ニトリの3年保証5年保証もこの一般的なモノの寿命から考えられたことでしょう。ハットの3年から5年もほぼこの計算になります。

少し脱線しますが、皆さんがハットを最初から被らない理由は別なところにあります。

1920年代（なんと100年前はEUや北米ではほぼみんな被っていたハット）をピークに下降線まっしぐらのハット。洋服（アパレル）のジャンルにいながらもステッキや葉巻のように嗜好品扱い。1960年代に当時大人気のアメリカ大統領JFK（ケネディ）がハット嫌いを公言してからますますハットは市民に被られなくなりました。

クルマの台頭も大きな理由です。19世紀の馬車から20世紀の自動車になったとたん、ハットは邪魔者扱い（運転席の上は狭い）。後部座席に乗る人や人前で話す人くらいしか被らなくなりました。

政治家・俳優・歌手たち専用のように扱われているハットですが、これもアメリカ大統領セオドア・ルーズベルトが1913年視察の際に好んで被っていたのが労働者の被る【パナマハット】でした。NY TIMESがそれを取り上げ、以降アメリカで大ヒットしたパナマハットはサマーハット（ストローハット）の代表格となりいまも健在。でもやはりパナマハットは夏の帽子です。

中央が視察時のルーズベルト大統領

2015年アメリカでヒットしたコンマリ（近藤麻理恵）的に言うと、モノの寿命（整理してもいい）は物理的なことではなく＜ときめき＞で終わります。その商品がオンリーワンで「いいな・いいな、そばに置いておきたいな」と思っているうちはまだまだ使うので捨てない。

アメリカでは片づけることをKonDoingというそうです

ハットを２つ３つと買うたびにその＜ときめき＞は新しいハットに移っていきます。

清水の舞台から飛び降りるような気持ちで購入した記念すべき最初のハットも、流行遅れや服装の変更についていけず、新しいハットにその座をいったん譲ってしまうとなかなか被られる機会はなくなります。ましてケースに入ってしまうと普段目にすることもなく礼服のような扱い（機会あるときのみの使用）になっていきます。

スーツ・ネクタイ・ワイシャツ・ベルト・靴。ここにハットを組み合わせることでジェントルマン（またはレディ）が出来上がります。その組み合わせを習慣化させること（そういう機会があること）で、ハットはいつも旬（ブランニュー）な扱いを受けます。

ジェントルマン（またはレディ）であろうとすること＝おしゃれであり続ける事。

＜ときめき＞を持ち続けることは大変なこと。ハットへの思いはそのハットを被って出かけた時に遡ります。きっと人々の眼差しを一手に引き受けたスターように楽しかった思い出が詰まっていることでしょう。今日もハットを通じた新しい出会いや会話に花を咲かせてください。

結論を言うと、ハットの寿命なんか考える必要はない。

クラシックで嗜好性の高いハットは、いつでもあなたの相棒です。あなたが被らなくなる日（あなたの寿命）がハットの寿命。明日被るためにお気に入りのハットケースの中でスタンバイさせておく。それでいいのではないでしょうか。おしゃれであり続ける事で毎日が楽しくなるのですから。

帽子の修理店（リボン交換）に伺ったとき、「もう十分じゃないの？」ってくらいのハットをたくさん見ました。

擦り切れたり、穴が開いたり、クルマで言えばポンコツのひん死の状態。

お店の人は言いました。「愛着ある帽子を手放す気はないんですよ！」

「…だから、何とかして欲しい！」と持ち込むそうです。

順番待ちの棚には癖にあるハットばかりが並んでいます。持ち主の顔が浮かんできそうで、吹き出しそうになりました。

最初の画、マイケルとトランプの共通点はハットにあります。

ご存知マイケルは歌：ビリージーンで有名です。トランプも大統領選挙の時、ゲン担ぎにステットソンハットを被っています。

大統領が被るハット：OPEN ROAD