日本の高校レベルは世界有数、ところが大学となると一気にその価値が落ちていく。と言われ半世紀。世界各国の有名大学は教授にオリンピック金メダリストやノーベル賞受賞者、映画のハリウッドではアカデミー会員が名を連ねる。理由はもちろん有能な学生の集客。有能な学生は早くから活躍し、その大学の知名度をさらに押し上げていく。世界トップレベルの学生を育成するエリート教育機関と言う事だ。

日本の大学に足らない事。それは社会貢献（CSRだけでなく）。有能な学生たちが社会人（即戦力）となって国の中枢を支える人になっているかどうか？

キャンパスはラボ（研究室）でなくてはならない。

マサチューセッツ工科大学（MIT）は世界各国の有名ブランドが出資し、教授と学生のチームに新しい研究（発明）を依頼し、未来工学を支えている。MITメディアラボの副所長になった石井裕教授も、経費はすべて企業持ち。期間内に発明や実現を目指す研究開発工場、それが社会貢献そのものになる。

大学は学ぶところではなく研究開発するところ。その研究が未来に役に立つなら企業は出資する。iPS細胞でノーベル医学賞を獲った山中教授は一介の整形外科医だった。「ジャマナカ」さんと呼ばれ、あまり腕は立たなかったようだが、一念発起し公募で研究開発しているチームを渡り歩いた。そしてついにその研究を実現させiPS細胞を見つけた苦労人。いまやiPS細胞研究に世界中から視線が集まり、世界中の学生が彼を求める。そして世界各国に戻ってそれを実現する。出身はKYOTO UNIV.となること。その国の企業がKYOTO UNIV.に着目するから。外国人留学生が出身校を有名にしていく。

授業が大事なのではなく、基礎研究の授業の上にあるのがゼミ。このゼミが成果を出すこと。有能なメンバーが課題を持ち、課題に挑戦して結果を出すこと。それには2年の短大や専門学校の時間では足らないということ。

国立大の弱点は親方日の丸。学校運営が基本的に補助金で賄われていること。補助金は拘束力が大きすぎる。一コマ3万円の講師料では有能な人は来ない。ゼミを持つ有能な教授（特任でもいい）は、その道のプロとして生活できる人。プロの中のプロだ。

メリーランド州ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学病院。ここに世界中のVIPが入院する。心臓を含めた移植手術のNo.1だから。非営利病院であることも素晴らしいが、36人のノーベル賞受賞者を輩出している。常に新しいことに挑戦するジョン・ホプキンス。博士課程の授業料は約5万ドル（550万円）、世界トップの授業料は日本の普通の医学部と変わらないかそれ以下だ。

ピッツバーグ大学病院は州立大であるにもかかわらず非営利病院。大学からの支援ではなく企業からの研究費と病院収入で90億ドルを上げている。雇用医師3,000人に対して、海外からの派遣や研究医師が4,000人。彼らは雇用者ではいないので給料は不要、ひとりひとりの患者を治すための人材がものすごく充実していること。ピッツバーグ大は＜患者ファースト＞の最先端です。

がん治療の世界最高峰と呼ばれるのは、テキサス州立大MDアンダーソン・キャンサー・センター。毎年14万人が訪れるMDアンダーソンは16,000人の医療関係者そして1,600人のボランティアが支えている。1,600人とはがんから＜寛解＞した人たち。＜寛解＞とは完全に治ったこと。ボランティアがしていることは何か？　それは祈り。不安な患者に寄り添い、その家族に勇気を与えること。患者として入院したら、次はボランティアとして恩返しする仕組み。

UCLAの映画学科は脚本の評価方法から映画監督になるための方法までを実際のハリウッド方式で習得できる。全米での平均倍率11倍、外国からの入学は17倍の競争率の狭き門を潜り抜けても入学したい理由は世界の映画の標準がここにあること。現役のプロが教える映像技術やマーケティングは即戦力に耐えうる実力を身に付けることで実現する。州立大であっても学費は決して安くはない（年学費アメリカ人15,000ドル・外国人45,000ドル）が、プロへの登竜門として最短の道。

USC（南カリフォルニア大）ではほぼ同様なプログラムで、ライバルUCLAよりもさらにハリウッドに近いビジネスを実現している。CGIやアニメーションは映画製作を受注し、実際に映画に参加している。アカデミー賞受賞最多出身校のUSCは合格率11%の全米屈指の超難関校。

＜ショートフィルム＞という短編映画は卒業作品とした始まった映画の卒業論文。同時に自分を売り込み映画会社やCM制作、TV制作に即戦力としてアピールをするアイテム。ルーカスもスピルバーグもショートフィルムを作った。

カーネギーメロン大学（ペンシルベニア州ピッツバーグ）は７つの組織で構成される芸術からコンピューターサイエンスの専門校。アートはアンディー・ウォーホールなどを生み出し、音楽は全米屈指のピッツバーグ交響楽団のメンバーが教え、演劇はブロードウェイ直結のシステムでスターを輩出している。物理学や経済学でのノーベル賞受賞者は13人、プログラミングのチューリング賞受賞者は9人、ソフトウェア開発ではSONYがここに社員を派遣する。最難関のプログラム研究でMITやカリフォルニア工科大を抑えて全米1位ランキング校。

そして世界のリーダーを輩出すべく一流の上にあるのが超一流＜アイビーリーグ＞。

東大理科3類が5倍の競争率（合格率18.5％）に対して、アイビーリーグは5.8~15.2％、ハーバード・イェール・ペンシルベニア・プリンストン・コロンビア・ダートマス・コーネルこの8校は全米の顔となる最難関の大学。歴代大統領もここの出身。

有名なサンデル教授の白熱教室に出るにはハーバードに入学しなければならない。

国の財産は次世代の人材。彼らが未来を創造する。大学は国の財産として活躍する人たちを養成するビジネススクール。企業ともに大学がその役割を果たしていく仕組みにしなければならない。

そして盛り上げていくのがスポーツやエンターテインメント。カレッジスポーツが地域に根付いて老人や子供たちに夢や希望を与えていく。大学とはそういうものだ。究極はものすごく努力して、活躍したら母校にホールを寄付する。それが大学とのギブアンドテイク。

大学なんてどこでも同じ！　いやいや全く違います。その大学のルーツや卒業生、教授の質、スポーツの活躍。大学こそ社会人への第一歩。本来はそうなってないといけないのです。これから30年40年と働いていくのですから。教育情報誌＜大学通信＞が認めるOB会の強い大学TOP10

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