プライベートビーチにご用心
南国のプライベートビーチ。白い砂浜、真っ青な空、そしてエメラルドグリーンの遠浅の海。
初めての海外、そしてビーチロケは定番のハワイ・オアフ島。ベテランスタッフに囲まれ何一つ問題ないはずだった。(海外ロケに行って初めて制作として機能する)
狙いはハーフの美少女モデルが大きな芋の葉を傘に天気雨(逆光狙い)を受けている定番のビューティショット。ロケハンを済ませて明日の用意の芋畑を見る。うっそうと茂る背丈の倍はある芋の葉。さすが南国ハワイ、「デカいなあ…」
当日切らないと葉はしおれてしまうので翌日から朝は5時起きになった。Tシャツ・短パン・サンダル。南国スタイルで快適なロケ。新人制作(制作進行係)として失敗はしたくないが、何一つ不安はない。
撮影初日、芋の葉を切って彼女の傘にしてロケ始まった。
ひざ下に少し切り傷があり、「ああ、さっきの畑か。まあ仕方ない」と撮影終了後少し汚れていた膝を洗い、気づいた。「なんかコブみたいに膨れてるわ」
撮影でほおっておいた時間が長くバイキンで膿が溜まっているようだ。
制作ボックス(小道具入れ)からカッターを出して焼いてからコブを切って処理した。
翌日も芋畑で刈り取った葉を彼女に持たせロケはスタート。なんだか足が変だ。
重くて動きにくい。「おい、大丈夫か? 膝がボールみたいに膨れているぞ」プロデューサーが心配してくれ、ロケ途中だけど医者に行った。
辺鄙な地だったので個人病院だった。ドクターは見るなり「ちょっと痛いよ」と細胞を取り検査室に消えた。次に現れたときにドクターは言った。
「あー、Mr.Hiraishi。この傷はここ特有の虫、害虫だ。処理する手段は2つ。ここで切るか、いまは薬を飲んで日本で切るか、いずれにしても切開して膿んだ足を治す必要がある。どちらがいいか? セカンドオピニオンもOKだ…」
深刻さは全くない。患者に判断を任せてくれるところが気持ちよかった。
「ロケだから帰国は4日後です。ここで切ってください」
ドクターはニコッとして「OK! じゃあここで切るが、相当痛い事のでウチのナンバーワンのナースをつける。彼女の手を握っていい。思いっきり握っていい」
「それからこれは貴重な臨床になるから、見学のインターンを入れたいが、いいか?」
実はこの間おそらく30分、かなり痛かった。「…いいです。すぐに切ってください」ナースとインターンが見守る中、手術室ではなく診察の椅子の上で切開と切除そして傷口の中をえぐるような消毒(もう気を失いそうな痛み)が始まった。
申し訳ないけど遠慮なくナースの手を思いっきり握った。その後撮影から戻る4時くらいになると毎日ドクターから電話があった。「今日は来ないのかHiraishi? 待ってるよ」病院に行くとあのナースがニコッと応えて診察室に招いた。
「今日も痛いぞ!」ドクターはそう言うと、傷口を広げグリッ(消毒)とえぐった。ナースは手を出してくれたが、そこは日本男子として遠慮した。多少乱暴な治療ではあるが、実に明快な仕事ぶり。病院ではあるが日本のような重苦しさが全くない。流行りの美容院のように明るい雰囲気にすっかり飲まれていた。
「ドクター、どうして毎日連絡してくれるのでしょう?」と聞くと、
「ああ、アメリカはね。ドクターもサービス業なんだ。だから患者ファーストなんだ」
ドクターは病名を伝え、その原因を究明し治す方法(いくつかあるが最善はこれと)を伝える。日本のように医者がすごく高い位置から見下ろす姿勢ではなく、医療のプロとしての視線を持ち、堂々とセカンドオピニオンを提案できる。当たり前なことが当たり前にあることは気持ちよかった。そして<患者ファースト>と言ったセリフ。
帰国後、かかりつけの医者に見せると「なかなかいい処理をしているね。確かにこの虫は貴重な虫だ。いい医者に出会ったね」とグリッとはせずに、飲み薬で対処してくれた。
数年後、今度はタイロケ。同じようにプライベートビーチだった。誰も来ない海岸、誰も来ないような深い森を抜けるとキレイなビーチがあった。
やっぱりTシャツ・短パン・サンダル。ロケは順調に終わった。帰国後そのまま別な打合せ。会社に着いた途端、足が動かない。右足全部が鉛のように重く中から痛みが突き上げた。中とは骨の中。「いったい、どうなってるんだ!」
そのまま階下にあった診療所に行くと、
「破傷風ですね、すぐに処理しなければ…」と太い注射をそのまま骨に打ち込まれた。
膝の裏側に傷口があり、そこからバイキンが入ったらしい。すでに骨に浸食し、このままでは足の付け根から切断の危機だと言った。それから一週間、痛い注射(抗生物質大量投与)の洗礼を受けた。
キレイなビーチに出る前の、深い森を歩いた時にやられたようだ。
以降、南国であっても長いパンツと靴を履くようになった。
誰もいないプライベートビーチ。そこはバイキンや害虫たちが住む楽園。
軟弱な日本人には危険極まりないデンジャラスゾーン。
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