｜センスのいいプレゼントを男性へ（秋冬）篇

誕生日・定年退職・結婚記念日・クリスマスプレゼント。お兄さんやお父さんは貰うモノにはうるさい！　身に付けているものは確かなものだし、ワイシャツのノリの効かせ方ひとつもクリーニング屋さんを選ぶらしい。昇進祝いの定番は＜銀座・和光のワイシャツお仕立券＞、どこにもないその人だけのワイシャツです。

さて、そんなうるさがたな人を黙らせるもの。それはハット。正確にはフェドラハットです。

stetson stratoliner special edition caribou

かつて1970年代から90年代においてビジネスマンの花形は皆、ダンヒルのライターを持っていました。見ていなくても音だけでわかるダンヒル。その音は金属音の「ピッ」そしてパーフェクトな炎の形。全くスキのない炎のカタチひとつにこだわっていたのです。当時100円ライターで上司に火を付けようとすると叱られました。「そんな安物で付けるな！」タバコはおとなのたしなみ。たしなみはおしゃれを最大限優先します。仕方なくお店のマッチを借りました。※店のマーク入りマッチも定番でした。

同じダンヒルじゃあなとデュポンを持つ人もいました。こちらも蓋を開ける音が素晴らしい、どんなうるさい場所でもデュポンのライターはわかると言われた「ピンッ」という響き。デュポンの炎は少し横太りの炎でした。

スーツの内ポケットには重いライターとタバコ。ライターひとつ6万円でした。そして足元はコールハーンやジョンストンアンドマーフィー。俳優で言えばロバート・レッドフォードかポール・ニューマン。いまならブラッド・ピットかレオナルド・ディカプリオのスタイルです。

そんなダンディの極めつけがハットになるわけですが、当時は誰も被ってはいなかった。昭和で言うと40年代まで。ハットを被れる人はごく少数、迎えのクルマを電通通り（現ソニー通り）に回せる人たち。スタイルはほぼ身に付けていましたがハットは被り損ねていたのです。アメリカの影響をまともに受けたお兄さんやおじさんたちはとうとう、ハットに憧れていたままで終わっています。

ジェントルマンであること。それは永遠の憧れです。でもいまさらハットに手を伸ばすにはちょっと縁遠い。思いがけないプレゼントとしたらそれはぴったりはまるアイテムです。憧れのフェドラハットでお出かけする姿をご想像ください。きっとホクホク顔でお会いできるでしょう。

そこでまったく時代の影響を受けていない（スタイルの変わらない）老舗ハットメーカーのご紹介。

｜ステットソン

アメリカンブランドの雄。ウィペット・ストラトライナー・オープンロードと代表作はアメリカンアクターの被るハット。なかでもジョニー・デップで有名なストラトライナーは外さない逸品です。

｜クリスティーズ・ロンドン

こちらはブリム（つば）の大きさでフェドラハットとトリルビーハット。ミュージシャンが好んで被るクリスティーズは、脱いだ時に見える赤いインナーが堪らないハットです。

ハットは基本、動物の毛（ファー）で出来ています。セーターや革ジャン同様に革や毛には特徴があります。ウール（羊毛）・ラビット・ビーバーと高級になり、主力はラビット。価格帯は3万円～5万円。

｜DOBBS FIFITH AVENUE

アメリカNYC、ドブスはヤングエグゼクティブに受けるカジュアルさが売り。なんとしてもコストパフォーマンスがいいのでDOBBSはお勧めです。

正しいハットの選び方については、ストローハットのBLOGで書いてありますのでそちらでどうぞ。ハットの仕様（サイズや被り方）は夏篇でご紹介しているので省略しますが、ぜひプレゼントの選考にどうぞ。

髪の毛が気になる人たちにもハットはお勧めしています。