｜パイロットと航空管制官との航空無線は原則「英語」です。

でもその英語は学校で習ったものとは違う、かつ辞書通りでもない、少々ユニークなものです。数字やアルファベットもそのまま発音されません。代表的なものとして挙げられるのは「はい」と「いいえ」のやり取り。航空無線では原則「YES」や「NO」は使いません。

肯定、いわゆる「YES」のときは「Affirm（アファーム）」、否定「NO」のときは「Negative（ネガティブ）」という言葉を使います。

安全を確保すべく、聞き間違いを徹底的に防ぐため。「YES」や「NO」では、やり取りの言葉としては短すぎ、聞き漏らしたりする可能性もあるとのことです。ちなみに辞書通りだと「Negative（ネガティブ）」の反対の言葉は「Affirmative（アファーマティブ）」ですが、語尾が似ていて聞き間違える可能性もあるため、肯定するときは、短い「Affirm」を用いるようになったといわれています。

こういった私たちが知っているのと違うユニークな英語を使う工夫は、数字の読みについても見られます。「3」は「トゥリー」、「5」は「ファイフ」、「9」は「ナイナー」と読むそうです。通信文の聞き間違いを防ぐために制定された規則、フォネティックコード（phonetic code）。その中でも北大西洋条約機構がつくったNATO フォネティックコードが一般的です。

日本では、総務省令無線局運用規則別表第5号（無線電話通信「和文通話表」）に定められています。

以前所属したコールセンターでも先輩たちは人の名前や住所を聞く際にコードを使っていました。

物販のコールセンターでは苦情が半数以上。お客様の商品へのクレームや会社への言い分、そして再配達など。感情むき出しの聞き取りにくいお客様の声を心穏やかにさせ、なおかつ間違いなく情報を聞き取るためには和文通話表を使うことは適切です。怒らせないで聞いた言葉を反復するために＜つるかめのつ＞ですね。とやります。

サンプルの音声通話：成田緊急着陸の様子

大事なこと、それは絶対に聞き間違わないこと。空の上の大事故を未然に防ぐこと。多くの飛行機を操り滑走路に無事に下ろす仕事、航空管制官。パイロットがどの国籍の人であろうと、間違いなく＜いつ、どこに、何時の方向から、どの航路で侵入しろ＞と伝えます。乗客と乗務員・全員分の命を保証するために。