ラグビー・ワールドカップの予告にはもってこいのタイミングで始まった＜ノーサイド・ゲーム＞。講評とか感想とかいう立場ではないので、池井戸潤原作ドラマについて一言。

構造は舞台が違うだけでいつも同じ、判官びいきの弱者応援ドラマ。今回のテーマはクルマ産業の中の実業団ラグビーだ。

構図がいい。役者が配役をやっている。長回しのセリフをものともしない広めのアングル。必ず切り返しショット（アップでセリフを合わせる）そこが実に気持ちいい。加えてサウンドデザインが巧みである。東芝府中のフィールドの鮮やかなグリーンが抜群に効いている。縦引き（カメラ正面をずっと奥まで描く景色）は通常禁断のアングル。それを平然と狙うのは並みの心臓ではできない事だ。

最下位争いの弱小チーム・勝てないから人気がない。予算も最低。廃部寸前のチームGMに左遷された元エリート社員。奇跡が起こらない限りはアウト！絶体絶命というシーンから始まる。

全く同じコンセプトの映画＜マネーボール＞をご存じだろうか？　2011年公開のGMビリー・ビーンが弱小球団アスレチックスをワールドシリーズまで導く逆転の発想のドラマだ。俳優ブラッド・ピットがGMを演じているが、実はブラッド・ピットはプロデューサーとしてこの原作著作（彼の会社名プランBはもうひとつの方法というまさにコンセプトそのままの会社）を買っている。

そう、このコンセプトは世界共通の<THINK DIFFERENT> 同じことをやっても勝てないぞ！

原作を読んでいないので結末は知らないが、こういうドラマを各局でシーズン１つやってくれれば、TVを暇つぶしにしか見ていない人にも、2019年は＜ノーサイド・ゲーム＞だったなと記憶に残るだろう。

1,000人のキャストで10分撮影するのは3時間の準備と撤収、送迎バス50台くらいは必要であり、弁当のことなど考えれば最低50人スタッフは必要になる。小さな映画を超える予算が必要となるわけで10回放送となれば、邦画予算4億円は超えることになるだろう。そこに見合う価値があればいいだけ。優良コンテンツはそういうものだ。

いまNTVのイッテQが最高の1本3,000万だという。実にもったいない予算配分。

1年1回キー局各局で優良コンテンツを放送。それを国民が望んでいるはずだ。医者と刑事もの、学園ドラマはもう十分だろう。

エア・ケイがウィンブルドンで活躍している（7/11現在ベスト8でした）。それだけで国民はうれしい。たったひとりのヒーローが未来を導く姿はいつだって希望ある話になる。残念ながらウィンブルドンの放映権は高い。

ラグビー・ワールドカップがまもなくやってくる。100KG超の男同士の肉弾戦。

アマゾンプライムの＜オール・オア・ナッシング＞というドキュメンタリーがある。

NZオールブラックス、世界最強を義務付けられた男たちの世界一の努力をさらけだしているアマゾンスタジオとっておきのストーリー。すごいのはカメラ数最低6台、最高10台くらいが同時に回っている。たった6本（46分＊6本）だが総予算は3億円を超えるだろう。プライム会員ならぜひワールドカップまでに見て欲しいコンテンツだ。

＜彼らはスーパースターなのにとても謙虚。それは慢心は敵、その敵は自分の中にいるからだ＞

地球上でもっとも肉体的・精神的（防具なしで激突）に過酷で、観客を興奮させるスポーツ・ラグビー。

＜ノーサイド・ゲーム＞のアストロズがどこまで興奮するドラマ（いつもの例なら3/4以上は苦しい場面だろう）を作り上げてくれるかはわからないが、ワールドカップ・ラグビーの興奮はいよいよカウントダウン間近だ。

この主題歌もGOOD!　米津玄師＜馬と鹿＞