パナマハットの正しい選び方
|パナマハットとは
「パナマハット」の検索は大変難しい。
理由は各販社(ショッピングモール運営者)の選考基準が自社特有だから。たとえばAMAZONで「パナマハット」と検索すると、以下のようなTOP画面(20220628現在)
AMAZON
【スポンサー】と小さくあるのは広告を意味します。つまりTOP一覧は広告欄になっているのに気づかずにクリックしている。⇒広告誘導が最前列にあることを見抜く人は少ない。
Yahooショッピング
ヤフーショッピングも同様、PRと出てくるのがTOP画面。⇒その広告も同じ店が並んでいることがわかる。
RAKUTEN
RAKUTENも【PR】と書いてあるわけで、実はオンラインショッピングはこの広告誘導で1つも売れなくてもサイト運営者(ショップは売れないと稼げない)は閲覧させるだけで収入となるわけです。
つまりオンラインではショッピングモールではなく、各ブランドのオフィシャル・ウェブサイトで閲覧した情報でないと良い商品の選別ができないため、正しい選び方はできないとなる。
大まかな目安にAMAZONやRAKUTEN、ヤフーショッピングを検索してしまいますが、そこには情報操作(PRがTOP画面)があって公平な判断ができない仕組みになっている。「なあんだ?」なのです。
検索を試した中で、一番検索で見つかりやすい単語は【本パナマ】でしょう。パナマハットとほかのストローハットとの区別用にできた言葉のようです。本物のパナマ。見つかるのであればそれで検索し研究してみてください。
パナマハットの正しい選び方とは
フェドラハットよりも良しあしを見比べる際に知るべき情報が多いのがパナマハットです。
パナマハットそのもののオリジン(どうやってできている)を知るべきです。そもそもパナマハットが高価な理由は工芸品(熟練工の伝統技術)であること。【手編み】です。他のサマーハット(ストロー)が工業品(機械編み)であるのに対して手編みのパナマハットは作業日数が全く違う家内製造の商品だからです。
<目次>
1)ストローハットとパナマハット違い
2)パナマハットの製造基準を知る
3)パナマハットのグレードを知る
4)パナマハットのスタイル
5)パナマハットの産地特性
6)パナマハットの編み方特性
7)パナマハットのブランド
8)パナマハットの選考基準
9)パナマハットの保管
10)パナマハットの買い替え
11)保管時の武器(ハットストレッチャー)について
12)ネットでのパナマハット購入について
13)ストローハットとの併用
14)パナマハットの目利き
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1)ストローハットとパナマハット
ストローとは形状から植物の茎のこと。パナマハットの素材パナマ草(トキージャ繊維)も茎を使うため広域ではストローハットですが、前段で書いたように手編みのパナマハットだけが別格。他のストローハットとは大別されています。ストローハットの種類は⑫の項で記しています。
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2)パナマハットの製造基準を知る
パナマハットはエクアドル産パナマ草(トキージャ繊維)で作られたハットで、元々の産地マナビ県モンテクリスティを最高品質産地として量産のクエンカの2大産地で作られています。そのクラウン内側には焼き印があり、エクアドル産(世界遺産)を保証しています。
パナマハットは手編みでしか作られていません。機械編みができない理由はその繊維が折れやすく、湿度の高い夜の製造を基準とし、大きな工場でする大量生産ができない、家内製造をメインとした産業だから。
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3)パナマハットのグレードを知る
パナマハットはその網目の数【ウィーブズ・パー・インチズ=WPI】により等級化されています。
WPI8とは8×8=64個の網目数。ハット全体は気の遠くなる作業なのです。
グレードの最低はグレード3(1インチに縦横3×3の網目しかありません)以下、グレードは標準の6-8、10-12と増えていき、最高は32まで。
これは何を意味しているかというと、繊維がグレードにより細くなり(割いて編む)、グレード3の倍の6では繊維の厚みは半分になる。12ではその半分、24ではさらに半分と、32までくると織物のようなしなやかさになる。作業量も縦横倍々(2乗)で増えますからそれはそれは時間のかかる作業です。
最高品質の32(ほぼ毛髪のようなレベル)は通常編む日数は半年(180日)以上と言われ、オーダーでしか作らないので2年待ち3年待ちが発生する天然素材の国宝級の美術工芸品です。※グレード32を織れる職人はモンテクリスティにたった4人しかいないとされています。
世界最高峰のパナマハットがオーダーができる【BRENT BLACK】のTHE PANAMA HAT COMPANY
パナマハット製作のTOP OF TOPのMAESTRO TEJEDOR★★★★★の認定者はシモン・エスピナル
グレード32を超える最高50までを織りあげるシモン・エスピナル。そのシモンファミリーがグレード35以上をオーダー(ビスポーク)で受け付けるシモンファミリーの日本窓口は【Kaori Millinery35】
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4)パナマハットのスタイル
フェドラハットのような大きなブリムとクラウンにクリースをつけたスタイルが標準ですが、パナマハットには数十個ほどの形があります。もちろん選択は個人の自由です。どんな時にどんなスタイルと限定するものではありません。
<MENS>
参考はモンテクリスティで販売されているスタイル一覧
<WOMENS>
日本ではあまり見ないベンチレーション(空気取り入れ口)はデザイン化されていて、飾り孔のベルトのように描かれます。
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5)パナマハットの産地特性
パナマハットはマナビ県で育つ実のつかないヤシ類(トキージャ)が原料。そのトキージャを煮出して乾燥させる。その際ブリーチしたりする。どこまでも割けるトキージャ。割けば割くほど繊維は細くなり、グレード3から32まで全く同じ編み方なのに、出来上がりは全く違うハットになる。グレード10を超えると繊維は極細になるので、やや糊を含ませて完成形のハットにきちんと定型されるようにする。
最高品質のULTRA FINO(FINOはモンテクリスティ独特の品質名称、ULTRAは32レベル)
モンテクリスティとクエンカ、二つのパナマについては別途紹介ページがあるのでそちらを参照されたい。モンテクリスティという産地のみ別格扱い商品(高級工芸品)が存在します。
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6)パナマハットの編み方特性(ウィーブズ)
3つの編み方があるパナマハット。
●リャノ(網代編み):2本ごとをV字に編み込むメジャーな編み方。最高峰はこのリャノで編むグレード32。織物を感じるしなやかさがリャノの特徴。
●ブリザ(石目編み):縦横1本ずつを十字に編んでいく。十字に少し隙間ができるため、被っていて風が頭の中を抜ける。
●クロシェ(鈎編み):かぎ針で編むクロシェは主に女性用ハットで多く使われ、ブリムの大きな女優ハットのようなデザインに向いています。
●ほかにツイストというひねりブリザもあります。ざっくりとした編み方ですが、あまり見ることはないです。
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7)パナマハットのブランド
ハイブランドのルイヴィトンやシャネルも含め、パナマハットはOEMで世界中に出荷しています。OEMですからそのブランドネームで売られています。製造はエクアドル、販売がブランドの国。
ルイヴィトンは旅行鞄がオリジン。ハットよりも高いハットボックス(ボワットシャポー)はトラベルハットケースの基準となっています。
ハットブランドでは、イギリスのジェームズロック(ロックアンドコー・ハッターズ)やクリスティーズロンドン。イタリアのボルサリーノ。アメリカのステットソンが4大メジャー。
このジェームズロック(ロックアンドコーハッターズ)のビスポークは1年待ちほどの高額商品(1$=130円で日本円100万前後)
もちろんどこのハッターでもパナマハットを販売していますが、リボン以外OEMですから、エクアドルのクエンカとモンテクリスティから出荷した時点(焼き印を押す時)で品質(グレード)決まっています。
●現地エクアドルのブランド
家内工業と言ったエクアドルの産地では、多くの現地ブランドが存在します。
しかし日本には数社程度。それも直接購入ではなく日本のハッターでのエクアドルブランドとなりますので各ハッター(帽子店)でご覧ください。
ちなみに当店が仕入れをしているのはドルフザン。2020東京オリンピック・エクアドル選手団の公式ハットブランドです。
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8)パナマハットの選考基準
ではあなたには、どんなパナマハットがいいのでしょう?
決めるのはご自分の財布とファッションスタイル。価格1万円未満でパナマハットを被りたいという人にはグレード3でしか選べません。スーツの価格に匹敵するパナマハット。3万円台のスーツか5万円台のスーツか。だいたいこの3択です。
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●1万円台かそれ未満
パナマハットを好きになってもらいたいエントリー向けです。ここではハイグレードなハットはありません。まあまあ良さそうなストローハットと同等ですが、目は粗くザクっとした編み方。ブリーチの白やカラーハットもこの価格帯では多く見かけます。ツートンなどの変わりものもあり、編み方はブリザとクロシェも多く散見します。
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●3万円台から4万円
パナマハットの代表的なブランドはこの3万円台にラインナップしています。多くはグレード6から8くらい。グレード3に比べればこまやかな編み方ではありますが、スタンダードなリャノで丁寧に作られています。
◇間違いやすいのは硬さ。これは糊を多く含ませて固めれば硬めになり、少なく含ませばやわらかめになる。ハットの硬さは編み方とはあまり関係ありません。そして硬さは個人個人の好みでもあります。
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●5万円台から6万円
1ドル=130円とすると350ドルから400ドルあたり(関税等含み)の商品となります。
ほぼハットブランドのメイン商品がこの価格帯。フェドラハットでも同様にシグニチャーモデルが並びます。グレードは10を超えて12とか15とか、そのあたり。
ファッションのハイブランドは別格なのでそれぞれ価格はバラバラですがグレード10を超えるハイブランドものはあまりありません。おそらく高額になりすぎるのでしょう。
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●グレード20以上(10万円を超えるハイエンド)
グレード18くらいからはほぼオーダーになります。あまり高額になると定番では売れないからです。ブランドでは見る事のないグレード20は実はエクアドルの現地ブランドで製造されています。編む技術があるのですから販売はされていますが、オーダーになります。グレード20は芸術品の部類です。家宝として被ります。
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9)パナマハットの保管
パナマハットでやってはいけないこと。それはクラウン(被る部分)を触ること。持ち主であってもクラウンを触ることでハット寿命が縮みます。理由な鋭い確度で曲がっているトップの部分が折れて壊れるからです。ポキッと折れて穴が開きます。穴はボンドで修復するしかなく、完全な状態には戻りません。
保管は当然きれいに埃を払ってから濡れタオルなどで拭き取ったあと、日陰で干したのち乾燥剤を入れたハットボックスに逆さでしまう。逆さの意味は重力。ブリムを重力で元に戻しておきます。
この際リボンは経年劣化していきます。直射を浴びたリボンは酸化が加速し色が褪せていきます。汗を吸ったあとも洗えないから完全にはきれいにならず、だんだん変色していきます。それを含めて味のあるハット(自分だけのパナマ)に仕上がっていきます。リボン交換は可能(自分で用意すれば交換は2,000円程度)ですのであまり心配はいりません。
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10)パナマハットの買い替え
買い替えとは交換するようなので、追加購入です。
冬のフェドラハット同様パナマハットも1つではさみしい。毎日同じハットを直射日光に晒すことで劣化することもありますが、汗が乾ききる前に次の使用となるので、少し臭うかもしれません。追加購入で交代要員を用意する。そういう意味です。
同じフェドラハットでもいいし、スタイルを変えてもいい。ただしリボンのカラーは変えましょう。ネクタイのように色を変えると気分も変わります。同等予算のものでもいいし、ワンランクアップでもいいでしょう。すでにパナマハットの達人域にいる人ですから。
気になるのがブランド。ここは揃えましょう。そのブランド好きとして周囲に認知させる目的もありますが、同じブランドですから被り心地を気にする必要がないからです。
11)保管時の武器<ハットストレッチャー>について
冬のウールも夏のパナマも数年から10年で周囲1CMから2CM縮みます。それを防止するのがハットストレッチャー(4,000円程度)です。しまう時にクラウンの中からギュッと固定して縮みを防ぐわけです。達人は購入したほうがいいでしょう。お気に入りが入らなくなったら目も当てられませんから。夏冬兼用の1つで保管時に使用しましょう。最初に高額な工芸品と言ったように普通のハットとは別格に扱います。
12)ネットでのパナマハット購入について
個人からパナマハットを購入するのはお勧めしません。やはりハッター(帽子屋さん)から購入しましょう。質問もできるし初期不良等親身にお世話してくれるでしょう。個人間取引ではそれが危うい。多少の値段の違い(目先の利)よりも長年被ることを考えて、安心した買い物をしましょう。個人保管は信頼性が薄いからです。⑩で記したように長期保管ではサイズが変わります。個人保管商品の購入は避けるようにしましょう。あとで泣くのはご自身になります。
13)ストローハットとの併用
まったく問題ありません。各ブランドはストローハットも販売していますし、ストローハットは機械編みなのでパナマハットのような高額商品にはなりません。パナマハットをエースにストローハットをリリーフに使う事はありです。ストローハット=【麦わら帽子】ではありません。
ストローは文字通りにストロー状の茎を使う事でしたが、最近はペーパー由来の【指定外繊維】という名称でペーパーハットが主流。ストローハットはブランド自国で製造されています。日本でのOEMもありますので、価格帯にはばらつきはあります。
そして被り心地は全然違うので、これは試着する必要があります。つまり路面店の店舗購入をお勧めします。サイズ感が全然違うので、必ず試着してピッタリのサイズを認識しましょう。重さも素材により違います。重めのもの軽いもの。厚手のもの薄手のもの。素材は無数にあり、お好きな(肌ざわりか見た目か)素材のハットでお試しください。
代表的なストローハット(ペーパー)素材。
●ラフィア:ヤシ科の植物の繊維を編み合わせてつくる帽子で人気の素材。しっかりとした素材で丈夫。水にも比較的強い素材。
●アバカ:マニラ麻ともよばれ、フィリピンが原産の素材。丈夫な繊維で光沢感もあり繊維も細いがしっかりしています。
●シゾール:サイザル麻ともよばれる。メキシコや中央アメリカなどが原産で高級素材とされます。独特のツヤと光沢があります。
●ラミー:剣麻草(ケンマ草)ともいわれる麻の中では強くて軽い素材。やや光沢のある素材です。肌ざわりがやや強いので気になる人はいます。
●バオ:ココヤシの素材。非常に丈夫でかための素材。手触りがしっかりしています。
●ブンタール:こちらもココヤシの素材を使用したもの。以前は多く使用されていましたが、近年貴重な素材となって、高級素材とされるようになっています。
●シーグラス:水草。こちらも春夏のハットの素材として使われることがあります。丈夫ではあるが、梅雨の時期などはカビなどが発生しやすい。
●ヘンプ:大麻草。医療用大麻と意味は同じですが産業用大麻なので茎を育てる事を目的に生産されています。葉は使わず茎を織物繊維として活用します。
通常【麻】と呼ばれる素材はリネンとラミー。リネンは細いためハットには使われませんのでハットの麻はラミーだけ。
14)パナマハットの目利き
どんなパナマハットがいいのか?それは実際に複数のパナマハットを見比べるところから始まります。1つではいいか悪いかはわからず、ショップ店員さんと相談しながら商品を知ることです。スタイル・編み方・グレード・ブリムの大きさなど見た目の様子、被ってみてしっくりくる感じ。視覚・触覚で感じてください。持ち方も含め店員さんの指示に従ってください。試着は必ずきれいな頭髪でお願いします。被る際にグリース等禁止です。
ネットの写真では目利きはできません。実際に触って感じてもらうもの。ぜひ有名店のドアを開けてください。その日買わなくてもOKです。パナマハットファンになるところから始めて下さい。ナチュラルの生成り色、ブリーチの白、それぞれ好みがあります。リボンもいろいろ。グログランという厚手の光沢ある綿で作られています。
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