Hey3hatterの夏を涼しくするお話TOP3
TOP3<南総峠越え>
撮影スタジオ・録音スタジオ・ホテル・ロケの現場…。CMスタッフの中で語られる怖い話は多い。私は特に<あっちの話>が好きな人でもなく、<あっちの世界>に興味あるわけでもないし霊感などもちろんない。ただ、ああこれは怖かったというお話を3つ。夏をコスパよく涼しくします。ではTOP3<南総峠越え>
撮影で使うクルマを劇用車と言い、たいてい前日に引き取り自走でロケ場所に運ぶ。普段遊ぶ時間もない私たちは劇用車が来た時何をするか?もちろんドライブ。撮影前日の前祝いみたいなもの。ひと月に一度会うか会わないかの彼女を隣に乗せて、得意満面に夜の海に向かう。大抵は湘南。この日はちょっと遠出をして九十九里にいた。
まだナビも携帯もない時代、まして他人のクルマに地図も乗せてはいない。勘ひとつで適当な海岸に着き、こじゃれた深夜までやっている店でディナー。そして適当にドライブして早朝彼女の家に送り、そのままロケ場所まで。という定番コース。今回のロケはちょっと遠く新潟までの運転になる予定。
最初のハードルは九十九里の砂浜だった。真っ暗な海岸。案外下は堅そう。と道路からクルマのまま海岸まで乗りつけたらスタック。後輪駆動なので、バックでゆっくりと脱出を試みた。より深く沈み込んで、腹がつき【亀の万歳】になってしまった。
ちょうどロケ用のシートやらウェスやら道具を積んでいたので、ありったけを後輪下に埋め込み、彼女にアクセルを踏んでもらいボンネット側から思い切り押した。砂が舞い上がるばかり。ひとしきりやってみるが、深刻な穴になってしまった。
すると遠くにヘッドライト。だんだん近づいて来た。見るとジープ。
しかもバンパーはしっかり別注品で巻き上げウィンチつき。「ナイス!」ここにロケで使う予定のロープを何重にもして引っ張ってもらった。スタックから2時間、脱出成功。しかしデートらしいものは出来ず深夜3時、お帰りの時間だ。
ロケに間に合うか危険な時間だったので、一気に内房に出てショートカットを狙った。それがまさかの恐怖となる事も知らずに。かなり外房も南の方。山道は険しかった。ふかし気味に急坂を登り、そろそろ頂上付近。
「あれ、二手に下り道がある」
来た事のない道だったが、感ひとつで最短の右側東京方面を選んだ。スイスイと下り坂。エンジンブレーキを掛けながら降りると何故かまた登りになった。
「まあこの辺はアップダウンしているからな」
ひとしきり登ると頂上付近。
「あれっ、さっきみたいに道が二手だ」
まさかの恐怖はここからだった。左右どっちを降りても同じ頂上、時間にして10分程度。何度も何度も同じ頂上に着いた。たぶん1時間は繰り返しただろう。真っ暗で何も見えないが、明らかにただ周回を繰り返している。
頂上付近でクルマを停めた。が、決してドアを開け降りてはいけないと感じていた。背筋は強烈な圧迫感、少し妖しい霧のようなものも出ている。
「クルマを止めてはいけない!」
直観してギアを入れた。
隣に寝ている彼女を起こした。
「ヤバイんだけど…」
「どうしたの?」
「たぶん、何かがこのクルマをいかせないようにしている。同じとこをグルグルさせられいるんだ」
白い霧はいつのまにかあたり周辺を包み込み、ハイビームすると何も見えなくなる。とにかく全力で山を降りるしかない。バックミラーを見る事も危ない気がしたので、前のめりになって必死にハンドルを切った。たぶん15分かそこらだろうが、1時間にも2時間にも感じた。
見るとクルマ一台がやっとの細い枝道がある。そこに突っ込んでみた。覆いかぶさる木の葉を多少巻き込みながらも枝道を一直線。行き止まりだったら終わりか?と覚悟しながらバサバサと音を立てながら突っ込んでいった。ふっと長い霧のトンネルを抜けた。見たことのある海と夜景が見えた。
「出た!内房」
どっと全身に汗が噴き出し、クルマを止めた。バックミラーで振り返ると、いま来た道だけに白い霧が掛かり、あたりは普通の夜。まるでロケでフォッグマシンを掛けたようにそこだけが妖しい雰囲気を出していた。
ロケは新潟。クルマで4時間。彼女の家に着くと6時だった。カッ飛んで新潟、午前9時着。
「あれえっ、借りて来たクルマ。汚ったないなあレンタカーだよなあ…」
仲間が後ろのハッチバックを開けると、ザザッと砂が溢れ出した。
「あれえっ、何だよこの砂。何処ロケハン行ってきたんだ」
「あー、ちょっと海にロケハン」
そのロケはコンバインのCMで田んぼのロケだった。
「あの霧を抜けられなかったら…」と数時間前の恐怖を必死に忘れようとした。
実は、この【妖気】はもう一度体験した。
広島プレゼンに行った時の事。お好み焼きを食べ、せっかくだからと平和記念公園に行った。時間はおそらく深夜12時あたり。ぐるりと回って裏側(たぶん戦没者墓地)に出たある一区画で、突然空気が変わった。湿った空気生臭い匂い、そして霧みたいな澱んだモヤが掛かった。
「ヤバいよ!出よう」
勘のいい友人も気づき、数名は走り出した。脚が重くなかなか進まない。
「ヤバいヤバい、なんか近づいてくる…」
友人はわめき散らしながら走っていた。その距離わずか100M。スローモーションのように走る仲間たち。背中にべっとりと汗をかいた。時間にして20秒くらい。でもその時は恐ろしく長く感じた。次の区画をまたいだ途端、何もなかった。たぶん【目には見えない何かの出入り口】周辺に遭遇したのだろう。
「そっちに行ってはいけない」それだけは確かに感じていた。
いかがでしたか? 少し涼しくなっていただけたかなと思います。
やはり真夜中なんですね、こういう体験は。ではまたチャオ。
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