Hey3hatterの夏を涼しくするお話TOP1
さてTOP1<っざけんな!>は23才の時の体験。
いまだに存在するホテルのお話です。少しイントロが長いですが、臨場感として読んでください。ボディブロー系のあとからじんわりと効いてくるストーリー。
CM制作はまずは助手から入る。助手は何でも屋、呼ばれたら飛んでいって言われた通りにする。カチンコ打ちなどまだまだ早く、手が伸びるとその手の中に紙コップに入れたコーヒーを渡す。ランチには弁当とお茶を配り、食べ終えた容器を回収しゴミ袋を小さく膝を使い縛っておく。とにかく座らない。
キョロキョロしながら、声のする方の助手をする。コンテや香盤表は配られない。動き回るのが仕事だから、ポケットに入れたら落として無くす。無くしたコンテや香盤表は誰かに拾われたら秘密漏洩になる。
だからコンテや香盤表は見て記憶する。往復のハイエースやロケバスの中、そして食事の時だけ座ることが出来るが、そこでも「おい」と声を掛けられるから、いつでもキョロキョロしている。
制作は制作進行とも呼ばれ、スタッフ全員の進行をさせる事が一番重要。次の予定、次の予定と先読みして準備を手伝う。助手はスタッフ全員の助手でもあり、カメラや照明、美術や衣装、メイク道具やタレントのクルマ手配など、座ってくつろげる時間はない。実はこの助手こそが身体で覚えていく仕事となり、助手を3年やってようやく制作として一本を受け持つ事が出来る。
映画なら俳優さんがチョキのポーズをすれば、その指の中に火のついたタバコを入れ、手に灰皿を持つ。さすがにCMではやらないが、あっちこっち走り回る仕事で、休まる時間はなく食事は5分。最後に食べ始めて最初に食べ終わらなくてはならないから、いつもみんなとは別なカレーを頼む。カレーは早いからね。
業界用語は複雑怪奇。
【八百屋】と言えばカメラマンさんが舞台を傾けてカメラの向こう側を持ち上げる八百屋さんの配置のようにしろという意味。
【セッシュ】と言えば被写体の俳優さんを箱馬の上に乗せて持ち上げるという意味。
【バミる】【被る】【上手(かみて)・下手】などいろいろ。
有名な話で、ある演出が編集中、「ケツを出せ」と言い、助手君はモジモジしていた。
演出は「お前何してんだ!ケツ出せって言ったろ。早くしろ」
助手君はどうしようもなく、半泣きでズボンを下ろした。
演出は「お前何やってんだ!ズボンなんか下ろすな」
「いいから、早くケツを出せ!」
助手君は「だからケツ出しました」と泣きながら答えたという、笑い話になった実話だ。
この【ケツ】とはフィルムをカットする際に使う部分をカットした残りの上下を【頭とケツ】と呼び、その【ケツ】のフィルムを出せと言ったわけだから、画像自体の後ろを少し伸ばしたいよ。と言ったわけで、同性愛の趣味を言ったわけではない。
瞬時に判断、瞬時に行動。それが先読み出来るようになれば、言われなくても行動があり、進行は順調にいく。
説明が長くなりましたが、本文に戻ると、助手が唯一の楽しみにしているのがホテル前泊。タクシー帰宅は勿体無いから大抵助手は撮影前日にホテルに詰め込まれ、少しの仮眠で撮影に連行される。仮眠は2時間か3時間。ホテルは契約している近くのビジネスホテル。サインひとつで出入り自由。
その日は同僚と2人、深夜2時チェックイン。起床5時、6時会社出発の普通コース。
契約の5階の部屋に並びで入室、さてさてシャワー浴びて寝るかと上着を脱いだ途端、
「コンコンコン」とノックが来た。
同僚がなんか用事かと思ったが、明日はもうすぐ。無視した。
「コンコンコン」またノック。
「おいおい、ふざけんなよ!」
出る気はなくテレビのスイッチを握った。
「コンコンコン」3回目でキレた。
ベッドひとつの空間しかない部屋、ドアを勢いよく開けた。
「何だよ!」と見ると、そこには掃除婦のおばちゃんが立っていた。距離は1M。白い頰かむりをして白いエプロンおばさん。手には木製のモップ。下を向き顔は見えなかったが、確かに150CM位のおばちゃんが立っている。
「掃除なんか呼んでねえよ! っざけんな。いったい何時だと思ってんだ!」
ドアをバーンと閉め、もう気分悪くてシャワーも浴びずに寝た。
翌朝5時、隣の部屋の目覚ましで起き、昨日の着衣のまま隣人とエレベーターに乗った。
隣人はニヤニヤしている。
「何だよ、気持ち悪い。どうかしたのか?」
「いや、何でもない」隣人はずっとニヤニヤしていた。
フロントにキーを渡し、
「おい、ふざけんなよ。夜中に掃除婦なんかよこすなよ!」と捨てゼリフした。
「も、申し訳ございません。でも、ウチは夜中に掃除婦はいませんよ。何かの見間違いではないでしょうか?」
「何言ってんだ! 白い頰かむりで白いエプロンでモップを持ったおばちゃんだよ」
フロント氏は、少し困った顔で、
「白い頰かむりと白いエプロンの掃除婦はウチにはいません。下は絨毯ですからウチは掃除機なんですよ」
2人のやりとりに隣人も加勢して、
「いやあ夜中に女の子を呼んだんだろうと思って耳を澄ましてたんだけど、イビキしか聞こえなかったんだよ。確かに何回かノックはあったよ」
私たちの管理している制作管理室の室長に後日報告、掃除婦のおばちゃんの話をすると、室長は急に沈んだ顔になり、「そうか、出たか。508だったな。契約の部屋をまた替えてもらうか」と、独り言のように呟いた。
納得の出来ない私は室長に噛み付くと、
「ほら、あそこなあ…。高台にあるだろ。昔、墓地だったんだ。いろんな奴が住み着いていて時々部屋に来るらしいんだ。おばちゃんは初めてだな。顔は見たか?」
「いえ、頰かむりしていましたから」
「そうか、見なくて良かったな。で、お前はどうしたんだ?」
「はい、怒鳴りました。だって怒るでしょ、夜中に掃除婦が来たら…」
「そうか、それは正解だった。怒ると逃げるらしい。あいつらは共感されたりすると連れて行ってしまうらしいからな。まあ、いいや。気にするな。部屋は替えておくから」
何度も出現している。そしてその容姿は同一人物ではないらしい。幸いにも同じ体験をする事なく助手から一本立ちしてからはこのホテルに泊まる事はなかった。いまもこのホテルは存在し、赤坂の助手君たちやテレビ関係者が泊まっている。
確かに実像だった。足もあり肉体もあった。怖がったり、共感したり、相手のペースに引き込まれてはいけない。もし同じ体験があったら、「あっちに行け! お前の来るところではない」と怒鳴りましょう。
涼しくなれたでしょうか?いまでもこの通りを走るとあの記憶は蘇りますが、決してそのホテルに足を踏み入れてはいません。赤坂のTV局のADの人が同じ体験をされていることでしょう。ではまたチャオ。
追記:先日このホテルの宿泊経験者(友人S)と話したところ、このホテルの4Fと5Fが<やつら>の出没する場所となっていたらしい。Sが見たのは赤いワンピースの女性。何故か廊下を走る女性の後ろ姿。ハリーポッターがホグワーツに出発する際、駅の9と3/4番線に乗るため壁に消えるシーンを思い浮かべて下さい。
そのワンピースはスピードを落とす気配もなく壁に吸い込まれた(この時友人Sも酔ってはいない。CGIのように吸い込まれたそうです)。
目の前で人が壁に吸い込まれる。これには全身に鳥肌が走った。
一番よくあったのは、外側からホテルの壁を叩く音。これはもう10人以上が聞いています。ここはホテル5F。それをイメージしてください。おそらく地上15M以上になりますよね。
ホテルは斜面を利用した断崖(坂の上にある高台)に位置し、道路に面する入口側(エントランスは3F相当)と周囲を見下ろす南側があり、南側には階段等設備は何もない、ただの壁のみの空中です。
地上15Mの壁を叩くのは誰? その人(壁を叩く人)が生きていた時代、5Fは地上だったのでしょう。
ドブズ★ローズバッド・グレイ59CM【ミランストロー】
通常価格
16,800
円 (税込)※商品価格以外に別途送料がかかります。
商品紹介
ドブズ★ローズバッド・バタークリーム58CM【ミランストロー】
商品紹介
ドブズ★ローズバッド・ホワイト59CM【ミランストロー】
通常価格
16,800
円 (税込)※商品価格以外に別途送料がかかります。
商品紹介
関連情報
メンズハット 通販|HEY3HATTER
メンズハットの通販ショップ【Hey3Hatter】では、ステットソンをメインにドブズやクリスティーズのいい帽子だけをセレクトして直輸入販売をしております。ストローハット・パナマハット・ビーバーハットをはじめ、ウィペット・ストラトライナーなど、ステットソンハット(DOBBS/CHRISTYS')の永久保存版を取り揃えておりますので、ぜひ自分にぴったりの一つを見つけてください。
屋号 | HEY3HATTER |
---|---|
住所 |
〒340-0011 埼玉県草加市栄町3-4-24-609 |
電話番号 | 090-4096-1911 |
営業時間 |
10:00~19:00 定休日:不定休 |
代表者名 | 平石 光男 (ヒライシ ミツオ) |
info@hey3hatter.net |