｜撮影をしていけない場所はあります。

リスクが高すぎること。写真ならなんとかなるが、被写体となる俳優さんやスタッフ数十人が移動するロケは危険がいっぱい。撮影できないもののご紹介。

 

僻地ロケ：なんとか行けるけど危ない（待機場所のない）場所

 

#01 遠山郷（とおやまごう）をはじめとする徒歩でしか行けない高地

長野県長野県飯田市 南信濃　日本のチロル、天空の里などともてはやされる信州1100Mの高地。

スタッフ全員が一時間以上歩かないと行きつきません。Not Good Location！

 

#02 槍ヶ岳をはじめとする登山の名山

ヘリで飛べばチャチャチャっと撮影可能。いえいえ登山客を締め出すことはできません。Not Good!

 

#03 青木ヶ原樹海をはじめとするコンパスの利かない地域

コケがきれいな樹海ですが、クマや野犬が潜んでいます。戦える装備を持たないロケ隊は危険。

 

自然遺産：そのまま自然を残しているところ

 

#01：白神山地や屋久島などの原生林

見た目はきれい。でも遊歩道以外は入れない。それでは画にならないとエスカレートすること必至。

 

#02 尾瀬ヶ原ミズバショウの時期をはじめとする旬の短い場所

一般人も求めることは同じ。きれいな時期は誰もが期待する場所です。占有できないロケ地は不適格。

 

#03 有名な滝をバックに（参考：白糸の滝）

滝のある場所はほぼ山奥。実は水は一番映りにくいもの（光を吸収）。天候が変わりやすい滝周辺での待機は危険。

 

人が殺到している場所：駅や空港、地下鉄

 

#01 主要ターミナル駅や空港、地下鉄

報道と個人のSNSカメラは自由に撮影可能ですが、営業目的の撮影は基本できません

 

#02 スクランブル交差点

すべてエキストラで占有できるならOKですよ

 

#03 パブリックとされている場所

（ロケーションボックスの協力が得られない場所）

学校や図書館、人々の生活にかかわる利用場所ではなかなか撮影許可はでません

 

ロケ隊に求められるのは、「自分たちだけが撮影できればOK! 」という考えではなく、次の人たちも撮影可能にしておくこと。ただしそれじゃあいいロケはできない。そう、規制が届いていない場所や緩和された場所、それを探し当てることもロケ隊のだいご味です。いいロケはいい結果を生みますから。

 

ある日、路面電車を貸し切って地方ロケをしました。乗り降りする先々で街の人たちとふれあうって企画。電車はいいのですが、一般人がやはり（主役の女優に）気づく（平日の昼間です）。噂はすぐに広まり、転々と移動する最後の目的地（大きな広場でした）には大勢の人たちが待機中、おそらく数百人。カメラを構える人や道路にはみ出る人が散在しました。「やばい。このままじゃロケ中止だ！、なんとかしなくちゃ…」

 

警察（道路使用許可とパニックは別物です）が来る前に編み出したのは、＜見てもいいから声は出さないで協力してもらうこと＞。そのために観客にロープを手渡し、みんなでロープ内（最前列はほとんど高校生）には入らないと約束してもらいました。

 

さてさて撮影再開！　女優の登場時はみんな「ほうっ…」と声にならないため息を発していましたが、誰もがロープを手に見守ってくれました。「いつオンエアする？　何のCM？」口々に終了時には聞こえましたが、そこは企業秘密。「来月のTV〇〇でオンエアするよ！」とだけ伝えました。ロケはパニックが一番危険なこと、中止は失敗になるのです。