CMプロデューサーの憂鬱その②
「できないを、できるに」それが私のコンセプト。NO!と言わないこと。それが身上だった。
最大の危機は<スクランブル交差点ロケ>だった。
普段できないことはできないとはっきり答えていたが、今回はCD(クリエイティブディレクター)がこれを聞くこともなく広告主の承認を受け、やることが決まってからの報告だった。
「無理ですよ、警察の許可は出ない!」
道路は全国どこであっても道路使用許可は警察が出すもの。交差点内は報道以外の撮影は禁止。一般人の歩行と安全を守れないこと(青信号のたった1分程度では)、車道のクルマの交通に影響を及ぼすこと。いわゆる公序良俗に反することとなっていた。
「誰ですか、こんな企画出す人?」
逆に質問したが、それは無意味だった。新商品のインパクトづけのため、やりそうもない場所でのロケを考える。それがプランナーの使命。このプランナーは【撮影常識】を知らなかった。広告会社上位3社ではこんなことは起こりえない。みんな撮影自体を知っているから。
この仕事はあまりCM経験のない人たちだった。
「もう企画は通ったんだから、なんとかしろよ!」
CDはそれを繰り返した。→ いまならパワハラそのものですが、当時はそんな言葉はなかった。
映画も含めて営利目的のある撮影は、日本では嫌われ者扱い。
一般生
かつて、渋谷で有名な警察ドラマが実際に事件らしいものを仕込み撮影。渋谷駅前はパニックになった。以
この画の30秒後にも同量の人が流れていくためには、グリーンバックの裏に同量の人が隠れていなければならない。
この画で言えば、30秒撮影するためには総勢2,000人は必要。整理する人も50人は必要。主演のセリフありなら1時間に2テイク撮れない。
<スクランブル交差点ロケ>、この問いに答えはない。
実際に作った事
このスクランブルで15秒撮るためには1,000人は必要。スカスカですがこれで200人くらいいます。
これを動かしていく進行係が四方に各2人
「最低でも1,500万円は掛かるな」
準備を入れて1日4トライか5ト
これを制作担当に説明し、制作スタッフの雇用やエキストラ集めの
候補は渋谷のパルコ前(いま建て替え中)。公園通りがベストだった。
勤労福祉会館前交差点は朝9時台は人通りが少ないが、10時を過ぎると急増する
ロケハンの演出も「ここはいいな!」と嬉しそう。制作スタッフは合計で20人近くになったが、社員で言えば8人程
逮捕とは言え、道路交通法違反。まあ迷惑行為なので当日反省文だ
制作担当は、すべての状況を事前に頭に叩き込む。
「なんとし
それが私からの命令。品質は演出に任せるし
ここまで仕込んで、CDに報告。そして社員をこの件でクビにはしないよう社長
撮影前々日、最後のミーティングを開いた。この会社始まって以来の危険で大掛かりなロケだった。
「大丈夫。シミュレーションはバッチリだ」
それぞれの制作の顔は自信に満ち溢れている。いい顔だ。
さてロケ本番、パトカー巡回に目を光らせた。渋谷周辺は巡回は1台ではない。交差点の左右上下どこからでも現れる。
警察は交通を誘導しながら路上に出ることは当たり前、囲まれたら逃げられない
順調にスタンバイ。出演者が少し緊張気味だが、エキストラに囲ま
出演者の緊張が伝わってくる。
私は交差点に入り、
歩道が狭い道路は、歩行のすれ違いが難しく大人数を導入しずらい
パトカー接近、時計7時方向。
案の定、トラック荷台に積んだミニクレーンを狙われた。これはメ
交差点は流れが重要。動いて・交差して・次の人が出てくることの繰り返す画がスクランブル
「何をやっていますか?」書類を見ずにこちらを見る。
警察官の狙いは責任者に中止を促すこと。そして中心となるカメラを捕えようとする
「ああ、カ
「わかってるよねえ、あ んたら交差点の中は撮影禁止だよ」
「もちろんです。ああ、少し交差点に入ってますか。前にずらしま
「荷台のあなたも降りなさい」
演出とカメラ助手も降ろされた。
「大丈夫ですかあ…」
トランシーバーの声がまる聴こえ。スイッチ
「いつ撮影?」
架空の日時と大学卒業作品らしき狙いを言いながら、
直線20Mのこの距離は、人物のしぐさも表情もわかる最適ロケーション
クレーンを積んだトラックをバックさせ、テイク4の準備。
今度は
カメラのトラックに気づく
さてさてクライマックス。あと2テイクがギリギリだろう。エキス
ミニパトがトラックを追い越していく。最後のテイク6の準備。時
最後尾は丸井あたりからスタートする。行列にならないとスクランブルはできない
朝10時、すべてのエキストラが時計で11時方向にあるシティホテルのロビーにぞろぞろ集まってくる
※フィルムコミッションで最近、渋谷スクランブル交差点を再現(合成)できることを売りにしたセットができた。→足利フィルムコミッションのWEBサイトはこちら(競馬場跡地)
<ここで足りないのはエキストラ。映画やTVドラマのように告知して集客できないのがTVCM。人をここに集めるにはミニマム幾ら掛かるか? その計算をフィルムコミッションはしませんし、合成の費用も別途です>
映画LALA LANDのオープニング。こんな画は日本では絶対に撮れない。
この画の難しいところ → ①音を全員で合わせる ②クルマの天井を補強する ③ひとり失敗したらやり直し
④ドライバーは全部の車に乗っている ⑤見えているのは300台、でも500台以上は必要 ⑥中古車はオシャカ!
最悪だったのが次回作。今度は地下鉄だった。
「なんで私を企画に入れないんですか?」
「だって入れたら止めるでしょ、この企画」
「当たり前でしょ。前回は偶然なんですよ、地下鉄ロケは撮影できないってわかっているでしょ!!!」
交通機関のロケ貸し出しはあった。ただそれは地上を走る私鉄のみ。それも2往復が限界。それを地下鉄駅構内の設定を書いてきた。
「もう通っちゃったんだからなんとかしてよ!」
「なんとかならないですよ。ないんだから」
続きは次回に。
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